粒子線医学物理学分野

放射線治療法の高度化の促進と品質保証(QA)の確立

医学物理学とは、医療、特に、放射線医療・粒子線医療を支える物理および工学の総称です。その内容は多岐にわたっていますが、重要な使命は「放射線治療法の高度化の促進」と「品質保証」にあります。本研究分野では、粒子線治療法の一つである「ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy : BNCT)」に重点を置いて、この療法の最適化および高度化のための医学物理学研究を行っています。

研究室ホームページ

教員

田中 浩基 ( Hiroki TANAKA )

教授(複合原子力科学研究所)

研究テーマ

中性子捕捉療法における加速器を用いた医療用中性子照射場の設計開発を行っている。また様々な線質が混入する放射線場におけるリアルタイム線量計測デバイスを開発している。

主な担当講義

放射線医学物理学

連絡先

複合原子力科学研究所 第二研究棟 3階2-303号室
TEL: 0724-51-2468
FAX: 0724-51-2620
E-mail: tanaka.hiroki.3e@* (スパム対策のためメールアドレスを省略しております。@の後にはkyoto-u.ac.jpを追加して下さい。)

櫻井 良憲 ( Yoshinori SAKURAI )

准教授(複合原子力科学研究所)

研究テーマ

中性子捕捉療法を中心に放射線治療に関連する物理工学および医学物理分野の研究に従事している。中性子照射システムおよび中性子-γ線混在場における線量評価システムの開発・改善、治療計画シミュレーション手法の高度化、中性子捕捉療法におけるQA/QCの確立、に取り組んでいる。

主な担当講義

放射線医学物理学、医学放射線計測学

連絡先

複合原子力科学研究所 第二研究棟 3階2-304号室
TEL: 072-451-2306
FAX: 072-451-2620
E-mail: sakurai.yoshinori.8n@* (スパム対策のためメールアドレスを省略しております。@の後にはkyoto-u.ac.jpを追加して下さい。)

高田 卓志 ( Takushi TAKATA )

助教(複合原子力科学研究所)

研究テーマ

中性子捕捉療法を中心に放射線治療に関連する物理工学および医学物理分野の研究に従事している。

主な担当講義

原子力工学応用実験

連絡先

複合原子力科学研究所 第二研究棟 3階2-313-1号室
TEL: 072-451-2337
FAX: 072-451-2658
E-mail: takata.takushi.6x@* (スパム対策のためメールアドレスを省略しております。@の後にはkyoto-u.ac.jpを追加して下さい。)

松林 錦 ( Nishiki MATSUBAYASHI )

助教(複合原子力科学研究所)

研究テーマ

中性子捕捉療法を中心に放射線治療に関する放射線計測システムの開発を行っている。

主な担当講義

連絡先

複合原子力科学研究所 第二研究棟 3階2-313-1号室
TEL: 072-451-2615
FAX: 072-451-2658
E-mail: matsubayashi.nishiki.3d@* (スパム対策のためメールアドレスを省略しております。@の後にはkyoto-u.ac.jpを追加して下さい。)

研究テーマ・開発紹介

BNCT用照射システムの開発・改善

BNCT用中性子照射場として、原子炉ベースおよび加速器ベース照射場の開発・改善に関する検討を行っています。これまでの大きな成果に「京都大学研究炉(KUR)重水中性子照射設備(HWNIF)」の改修および「サイクロトロンベース熱外中性子源(C-BENS)」の開発(住友重機械工業・ステラファーマと共同開発。2020年3月に医療機器として承認)があります。

30MeV_Cyclotron.jpgC-BENS.jpg

BNCT用照射システムに用いられるサイクロトロン     BNCT照射システム概略図

BNCTおける線量評価の高度化

照射場の特性評価時、品質保証/品質管理(QA/QC)時、実際の患者への治療照射時、等の各フェーズにおいて線量評価を実施する必要があります。BNCTにおいては、熱、熱外、高速中性子、γ線に加えてホウ素に由来する線量を弁別しながら、3次元かつリアルタイムで線量評価を簡便・高精度で行うことが、究極の目標となっております。BNCTの照射場は高強度の中性子線やγ線が混入していることから、既存の放射線モニターなどを適応することができません。放射線計測技術を駆使しながら新しい線量評価方法について開発研究をすすめています。

物理的線量の測定評価と生物学的効果因子の定量

生物学的な効果を物理工学的な視点から評価するために、マイクロドシメトリや化学線量計を用いた評価に関する研究、等を行っています。

 

医学物理・物理工学面でのBNCTの最適化・高度化およびQA/QC

現在のBNCTでは、従来の脳腫瘍および悪性皮膚黒色腫に加え、難治性頭頸部腫瘍、多発性肝腫瘍等の体幹部腫瘍も臨床の対象となっています。このような適応拡大を背景に、上記の課題以外にも、医学物理・物理工学面でのBNCTの最適化・高度化や、QA/QC(品質保証/品質管理)に関する研究を行っています。