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量子ビーム科学講座

人類社会の持続ある発展にとって、循環型システムの構築が必須です。

本研究室では、この観点に立った教育研究を進めています。

加速器からイオン、電子、光子など制御性の良い多機能の量子ビームを発生することができます。これらの量子ビームは原子から素粒子までミクロな物質とさまざまに反応します。その反応素過程ひとつひとつを実験で探り、新しい自然のメカニズムやプロセスを見出す研究をおこなっています。さらに、それらを活用することにより、自然に適合した機能を持つ人工システムの構築や物質・生体の分析・診断に応用する研究を進めています。

教員

土田 秀次 ( Hidetsugu TSUCHIDA )

土田 秀次准教授(工学研究科)

研究テーマ

加速器から得られる粒子線と物質(原子分子、クラスター、液体、固体)との衝突反応過程に関する実験的研究を行っています。衝突によって生じる非平衡反応をリアルタイムで観測し、その物理機構を解明することを目的としています。また、分子・クラスタービームの空間制御に関する新たな方法についての研究も行っています。

主な担当講義

量子線計測学、加速器工学、医学放射線計測学

連絡先

宇治キャンパス 総合研究実験棟2F 214号室
TEL: 0774-38-3974 (PHS: 0774-38-4895)
FAX: 0774-38-3974

桂キャンパス C3棟 d1N05号室
TEL: 075-383-3929

E-mail: tsuchida@* (スパム対策のためメールアドレスを省略しております。@の後にはnucleng.kyoto-u.ac.jpを追加して下さい。)

松尾 二郎 ( Jiro MATSUO )

松尾 二郎准教授(工学研究科)

研究テーマ

量子ビームが創り出すナノスケールの非平衡場で起こる新規現象の探索と、原子・分子の精度での制御が必要な先端技術への応用研究も進めています。

主な担当講義

電磁気学続論、原子物理学、量子反応基礎論、量子科学2

連絡先

宇治キャンパス 総合研究実験棟 2階2221号室
TEL: 0774-38-3973
FAX: 0774-38-3977
E-mail: matsuo.jiro.7s@* (スパム対策のためメールアドレスを省略しております。@の後にはkyoto-u.ac.jpを追加して下さい。)
http://sakura.nucleng.kyoto-u.ac.jp/

斉藤 学 ( Manabu SAITO )

斉藤 学准教授(工学研究科)

研究テーマ

イオン蓄積リングやイオンビームトラップに閉じ込めた高分子イオンビームに量子ビームを合流させる独特な手法を用いて、励起高分子イオンの脱励起現象を調べています。また、デスクトップ静電型イオンビームトラップの開発と、それを用いて準安定状態イオンの禁制遷移寿命測定の精密化を目指しています。

主な担当講義

量子反応基礎論、基礎量子科学、応用電磁気学

連絡先

桂キャンパス C3棟 d1S04号室
TEL: 075-383-3904
FAX: 075-383-3904
E-mail: saito@* (スパム対策のためメールアドレスを省略しております。@の後にはnucleng.kyoto-u.ac.jpを追加して下さい。)

瀬木 利夫 ( Toshio SEKI )

瀬木 利夫講師(工学研究科)

研究テーマ

量子ビームを用いた新しい表面加工プロセスや評価技術の開拓。クラスターイオンビームを用いた多原子衝突系の照射効果の研究。

連絡先

宇治キャンパス 総合研究実験棟 2階211号室
TEL: 0774-38-3977
FAX: 0774-38-3978
E-mail: seki@* (スパム対策のためメールアドレスを省略しております。@の後にはsakura.nucleng.kyoto-u.ac.jpを追加して下さい。)
http://sakura.nucleng.kyoto-u.ac.jp/~seki/

今井 誠 ( Makoto IMAI )

今井 誠助教(工学研究科)

研究テーマ

人類は、原子・分子、原子核、素粒子とより小さな(基本的な)粒子を研究対象に加えて科学を発展させてきましたが、我々が日常経験する世の中の物質のいろいろな性質を決めているのは、原子・分子スケールでの科学法則です。世界が凍り付くことなく我々が活動できるのは、原子や分子がエネルギーを得て運動しているからであり、運動している原子・分子同士が衝突する現象は、この宇宙・世界を理解する鍵となります。原子・分子をビーム化して実験をおこない、これら法則とその利用法を探ります。

連絡先

桂キャンパス C3棟 d1S05号室
TEL: 075-383-3905
E-mail: imai@* (スパム対策のためメールアドレスを省略しております。@の後にはnucleng.kyoto-u.ac.jpを追加して下さい。)

間嶋 拓也 ( Takuya MAJIMA )

間嶋 拓也助教(工学研究科)

研究テーマ

放射線物理,原子衝突物理,原子・分子・クラスター科学

連絡先

宇治キャンパス 総合研究実験棟2F 212号室
TEL: 0774-38-3972
FAX: 0774-38-3972

桂キャンパス C3棟 d1N06号室
TEL: 075-383-3931

E-mail: majima@* (スパム対策のためメールアドレスを省略しております。@の後にはnucleng.kyoto-u.ac.jpを追加して下さい。)

研究テーマ・開発紹介

イオン・固体相互作用による機能発現と量子テクノロジーへの応用

固体物性から素粒子に至るまで量子科学の発展の原動力のひとつは加速器技術です。加速器をもちいてイオン、電子、光子(放射光)などの量子ビームをつくり、 固体や素粒子の量子状態を詳細に調べることによって、量子科学が築かれてきました。また、その過程で、量子ビームの特性や機能が高度化され、当初意図しなかった分野においても優れた技術として定着してきました。

たとえば、原子や原子核の内部構造を明らかにするためにイオンの散乱や反応、また光子や電子の放出過程が詳しく観察されましたが、その技術がいまは、ラザ フォード後方散乱法、イオン誘起エックス線放出法などとして、広く材料創製、宇宙・環境分析、生体分析などに幅広く利用されています。

この課題では、ナノメータスケールを目指した極微細分析、固体表面最外原子層分析、超高感度分析など量子テクノロジーへの応用を目的にイオン・固体相互作用についてより精緻な素過程の解明と新機能の発現に照準を合わせて研究を進めています。

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図-1 量子現象の発現と量子テクノロジーへの展開

イオン注入による自己組織化量子ドットの形成と量子システムの構築

量子システムという言葉をはじめて目や耳にされる方も多いと思います。ここでは、広く量子現象に関わる科学や技術を基にしたシステム、さしずめSchrodingerのシステムと定義しましょう。今日ほとんどのシステムはこの範疇に入り、トランジスターやレーザは最もポピュラーな量子デバイスです。それらを基にしたパーソナルコンピュータや携帯電 話、加えて光ファイバー網から構成される世界規模情報システムも、キーテクノロジーとしては量子テクノロジーの範疇に組み込むことができるでしょう。

21世紀の基幹科学技術であるナノテクノロジーは今後、量子コンピュータを含む多彩な量子システムを生み出していきます。このように量子システムは、現在はもちろんのこと将来において人類社会の持続ある発展に大きく貢献しうるシステムです。

本課題では、イオン注入プロセス技術を用いて、シリコンの自己組織化量子ドットを作成し、環境に共生する光デバイスの構築をめざした研究をおこなっています。

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図-2 量子ドットの形成:粒径10ナノメートルの単結晶ドットの電子顕微鏡写真、作成装置と光の放出の模式図

高エネルギークラスターや超高速微粒子を用いた物質生成と宇宙探訪

数個以上の原子が集まったクラスター(集合分子)やナノからミクロンサイズの微粒子をイオン化し高エネルギー加速器で加速して固体にぶつけると、普通の原子固体衝突では見られない非線形な衝突効果が観測されています。

また、衝突した固体表面には月の表面を思わせるようなクレーターができています。このような現象がどのようにして起こっているのかを解明し現象を制御することによって、材料の表面を加工したり、新しい材料を作ったりするのに役立てることができます。

宇宙にはこのようなクラスター分子やアミノ酸のような有機分子、宇宙塵と呼ばれる微粒子がそこら中に存在しています。それらが地球に運ばれてきて生命が誕生 したという説もあります。それらは地球に途轍もない速度でぶつかったでしょうに、壊れずにいたのは何故か、どうやって別の物質を作っていったのか、といったことも加速したクラスターや微粒子を用いて実験しています。また、宇宙塵探査用の人工衛星搭載用の質量分析器や捕集・検出器も開発しています。

核融合プラズマ中での原子衝突機構の解明と応用

イオンビームが原子、分子、固体、表面などのターゲットに衝突すると、イオン、ターゲット内部の構造変化を伴う諸過程が、確率的かつ競合的に起こります。この過程は、中間状態の生成と、それによる更なる構造変化など、衝突時に特有のダイナミック(動的)な物理現象を数多く含み、静的な研究からは得られない知識を与えてくれるものです。

実験により、原子・分子が関わるナノスケールレベルでのあらゆる事象を考察するための基本データが得られます。

現在集中して取り組んでいるのは、将来の核融合炉心でプラズマを継続燃焼させるために不可欠な、燃料供給、不純物・燃焼灰除去、プラズマ計測診断に深くかかわる衝突過程です。