村上定義教授の研究課題が JST「AI for Science 革新的研究推進事業(ARiSE)」国際・融合型に採択されました

本専攻の村上定義教授が研究開発代表者を務める研究課題が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の2026年度「AI for Science 革新的研究推進事業(ARiSE)」国際・融合型に採択されました。課題名は「ステラレータ型核融合炉におけるコア・エッジ統合制御のためのAI駆動型デジタルツインシステムの開発」、研究期間は2026年10月から2029年3月までの2年6か月です。本専攻からは、村上教授に加えて森下侑哉助教と成田絵美講師が研究に参加します。

核融合炉の定常運転では、炉心プラズマの閉じ込め性能を高めることと、周辺部のダイバータが受ける熱負荷を抑えることが、互いに相反する要求となります。両者を同時に満たす運転条件を見いだすには、3次元磁場配位における周辺プラズマの大規模シミュレーションが欠かせませんが、1ケースの計算に数時間を要するため、ミリ秒単位の応答が求められる実時間制御に用いることはできませんでした。
本研究では、この高忠実度シミュレーションを、物理法則を構造として組み込んだAIサロゲートモデルに置き換えます。特徴は、AIが自らの予測の不確かさを申告し、その不確かさをデータ同化の誤差共分散へ整合的に繰り込む点にあります。これにより、学習していない磁場配位では自動的に実測データを重視し、確信の持てない領域には踏み込まない
── そうした制御が、経験則ではなく定式化そのものから導かれます。

研究は、核融合科学研究所の釼持尚輝准教授(共同研究開発代表者)および統計数理研究所の上野玄太教授(研究開発分担者)との連携により推進します。国際共同研究としては、米国ウィスコンシン大学マディソン校のヘリカル対称実験装置 HSX グループとの20年以上にわたる実績を基盤に、国内の CHD と HSX という性格の異なる2台の実機を用いて、装置に依存しない制御手法であることを実証します。

本研究で構築する「高忠実度シミュレーション → 不確実性つきサロゲート → データ同化制御」という枠組みは、核融合に固有のものではありません。観測が限られ、シミュレーションに大きな計算コストを要する他分野へも展開が期待されます。

関連リンク先
JST 第1875号「AI for Science革新的研究推進事業(ARiSE)新規採択課題の決定について」
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1875/index.html
ARiSE事業概要
https://www.jst.go.jp/program/arise/overview.html