村上定義教授の研究課題がJST CREST「革新的デジタル時空間拡張」に採択されました
概要
本専攻の村上定義教授を研究代表者とする研究課題「核融合プラズマの適応的デジタルツインシステムによる総合制御」が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業CRESTの2026年度新規研究課題に採択されました(2026年9月17日発表)。研究領域は「デジタル時空間拡張の実現に向けた技術革新と持続的価値共創」(略称:革新的デジタル時空間拡張、研究総括:本村陽一 産業技術総合研究所人工知能研究センター首席研究員)です。
本研究では、シミュレーションと観測データを統合するデータ同化技術を核としたデジタルツインにより、核融合プラズマの温度・密度・電流などの空間分布を実時間で予測し、不安定性を回避しながら目標状態へ導く制御技術の確立を目指します。本専攻からは、村上教授に加えて森下侑哉助教と成田絵美講師が研究に参加します。研究期間は2026年10月から2032年3月までの5年半です。
本研究では、シミュレーションと観測データを統合するデータ同化技術を核としたデジタルツインにより、核融合プラズマの温度・密度・電流などの空間分布を実時間で予測し、不安定性を回避しながら目標状態へ導く制御技術の確立を目指します。本専攻からは、村上教授に加えて森下侑哉助教と成田絵美講師が研究に参加します。研究期間は2026年10月から2032年3月までの5年半です。
研究の背景
核融合炉を実現するには、約1億度に達する超高温のプラズマを磁場で閉じ込め、安定に維持する必要があります。しかし核融合プラズマは、温度・密度・電流をはじめとする多数の物理量が相互に結合した強い非線形の系であり、わずかな状態の変化が閉じ込め状態の遷移や不安定現象を引き起こします。さらに炉の環境では内部を十分に計測することが困難です。すなわち「内部が観測しにくい」ことと「壊れやすい」ことの二つが、核融合プラズマの制御を阻む壁となってきました。
研究の内容
本研究グループは、シミュレーションと観測データを相補的に統合する「データ同化」の技術を核融合プラズマに導入し、さらに目標状態を同化するという新たな手続きを加えることで、プラズマを目標状態へ導く制御入力を推定する枠組みを世界に先駆けて提案してきました。これを実装したデジタルツイン制御システムASTI(Assimilation System for Toroidal plasma Integrated simulation)は、大型ヘリカル装置LHDにおいてプラズマ中心の電子温度・密度の制御に成功し、核融合プラズマに対するデータ同化型予測制御の有効性を世界で初めて実証しています。この成果は、本専攻の森下侑哉助教を筆頭著者として発表されました(Y. Morishita, S. Murakami, et al., Scientific Reports 14, 137 (2024))。
核融合炉を実現するには、約1億度に達する超高温のプラズマを磁場で閉じ込め、安定に維持する必要があります。しかし核融合プラズマは、温度・密度・電流をはじめとする多数の物理量が相互に結合した強い非線形の系であり、わずかな状態の変化が閉じ込め状態の遷移や不安定現象を引き起こします。さらに炉の環境では内部を十分に計測することが困難です。すなわち「内部が観測しにくい」ことと「壊れやすい」ことの二つが、核融合プラズマの制御を阻む壁となってきました。
研究の内容
本研究グループは、シミュレーションと観測データを相補的に統合する「データ同化」の技術を核融合プラズマに導入し、さらに目標状態を同化するという新たな手続きを加えることで、プラズマを目標状態へ導く制御入力を推定する枠組みを世界に先駆けて提案してきました。これを実装したデジタルツイン制御システムASTI(Assimilation System for Toroidal plasma Integrated simulation)は、大型ヘリカル装置LHDにおいてプラズマ中心の電子温度・密度の制御に成功し、核融合プラズマに対するデータ同化型予測制御の有効性を世界で初めて実証しています。この成果は、本専攻の森下侑哉助教を筆頭著者として発表されました(Y. Morishita, S. Murakami, et al., Scientific Reports 14, 137 (2024))。
本課題では、この成果をさらに発展させ、制御の対象を一点の値から温度・密度・電流などの空間分布全体へ、制御の視野を現在の状態から不安定性を回避する将来の経路へと拡張します。トカマク型装置JT-60SAおよびヘリカル型装置CHDでの実証実験を通じて、プラズマが運転の途中で崩壊することなく目標状態に到達する「プラズマナビゲーション」の実現を目指します。あわせて米国HSX装置、ドイツWendelstein 7-X装置との国際共同研究を進め、核融合プラズマの予測・制御システムの国際標準化に資する技術基盤の構築にも取り組みます。
観測が不完全な複雑系を実時間で予測し、危険な状態を避けながら目標へ導くというこの枠組みは、核融合分野にとどまらず、航空宇宙や大規模プラントなど多様な対象への展開が期待されます。
研究体制
京都大学からは、研究代表者の村上定義教授に加え、本専攻の森下侑哉助教がASTIシステムの高度化・高速化を担当し、成田絵美講師が物理モデルのモジュール高度化を担当します。さらに統計数理研究所(上野玄太 教授)、核融合科学研究所(釼持尚輝 准教授)、量子科学技術研究開発機構(浦野創 次長)が参画し、計4機関でプラズマ物理・統計数理・実験装置の各分野が連携して研究を進めます。
観測が不完全な複雑系を実時間で予測し、危険な状態を避けながら目標へ導くというこの枠組みは、核融合分野にとどまらず、航空宇宙や大規模プラントなど多様な対象への展開が期待されます。
研究体制
京都大学からは、研究代表者の村上定義教授に加え、本専攻の森下侑哉助教がASTIシステムの高度化・高速化を担当し、成田絵美講師が物理モデルのモジュール高度化を担当します。さらに統計数理研究所(上野玄太 教授)、核融合科学研究所(釼持尚輝 准教授)、量子科学技術研究開発機構(浦野創 次長)が参画し、計4機関でプラズマ物理・統計数理・実験装置の各分野が連携して研究を進めます。
関連リンク
JST 機構報 第1873号「戦略的創造研究推進事業における2026年度新規研究課題の決定について」
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1873/index.html
CREST 研究領域「革新的デジタル時空間拡張」
https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/bunya2026-3.html
JST 機構報 第1873号「戦略的創造研究推進事業における2026年度新規研究課題の決定について」
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1873/index.html
CREST 研究領域「革新的デジタル時空間拡張」
https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/bunya2026-3.html

