理念と目的

原子核工学設置以来、原子力技術研究やその基礎となる物理・数学の研究など、「原子核工学」とは何か、そこにおける教育・研究はどのようなものであるべきかを追求し、さまざまな変遷、発展、展開がありました。平成6年度改組時点に「原子核」を「量子」へと発展させ、さらに平成13年に、専攻のあり方や理念の検討を行いました。現在、「素粒子、原子核、原子や分子など、量子の科学に立脚したミクロな観点から、量子ビーム、ナノテクノロジー、アトムテク ノロジーなど最先端科学を切り開く量子テクノロジーを追究するとともに、物質、エネルギー、生命、環境などへの工学的応用を展開し、循環型システムの構築をめざす。そして、これらの体系的かつ立体的な教育・研究を通じて、先端的研究者や高度専門技術者などの人材を育成し、人間社会のより豊かで持続ある発展に貢献する」ことを理念として掲げています。

この理念・目的に基づき、カリキュラムの体系化を図り、研究グループを4つに再編成し、量子の科学と工学についての教育と研究を行っています。すなわち、量子の性質や特徴を生かした技術は様々な分野で研究開発され、その応用はナノス ケールの原子・分子の世界からエネルギーシステム、情報通信、生命、そして宇宙にまで広がっています。このように原子核工学専攻では、様々な量子の技術に基づいて、イオン、電子、レーザーなどの量子ビームの高度利用と材料開発、超伝導体放射線検出器などの高度計測法の開発、医療への応用、量子エネルギーを安全で有効に利用するためのシステム、核融合をめざした研究開発、中性子を利用した物質の構造と機能の分析、光子と原子による量子情報通信など、量子の科学と工学についての教育と研究を行っています。